書籍

再生可能エネルギーのリスクとガバナンス − 社会を持続していくための実践

再生可能エネルギーのリスクとガバナンス

― 社会を持続していくための実践

丸山康司・本巣芽美・西城戸誠/編著

A5・288ページ
ISBN 9784623073733
発行 2015年10月10日
出版 ミネルヴァ書房

出版社 Webページ
本書は、再生可能エネルギーと地域社会の関係を解き明かし、望ましい解決を構想するものである。再生可能エネルギーの開発問題のあり方を、技術的な課題と社会的な課題とが重なる領域から多層的に考えていく。
◎ 技術的解決と社会的解決の両者を視野に入れた多層的な考察
◎ 文理融合の共同研究に基づく現実化のための具体的で実践的な提言

目次

はじめに

第1部 リスクと社会的受容性

第1章 再生可能エネルギーをめぐるリスクと地域資源管理(丸山康司)
――本書の視点
1 環境エネルギー問題と社会の持続性
2 再生可能エネルギーの導入に伴う社会的課題
3 ローカルな課題をどう考えるか
4 再生可能エネルギーの地域管理
5 本書の構成

第2章 再生可能エネルギーの社会的受容性(本巣芽美・西城戸誠)

1 日本における風力発電の「受容」をめぐって
2 社会的受容性という概念
3 受容性の違いとその具体例
4 風力発電事業開発を取り巻く問題群
5 地域住民による風力発電への「かかわり」
6 住民によるかかわりおよび参加の問題点
7 技術的な解決と社会的な解決へ向けて

第2部 解決のための処方箋

第3章 風力発電事業による環境影響とその対処(松田裕之・門畑明希子)

1 戦略環境評価と生態リスク
2 国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方
3 生態リスクと個体群
4 順応的リスク管理
5 日本の環境影響評価の問題点
6 総合的な視点でのリスク評価の重要性

第4章 風力発電事業と鳥類貴重種との共存策について(島田泰夫)

1 互いの立場の理解と共存策の模索
2 バードストライクの実態
3 風車への衝突メカニズムの解明に向けて
4 共存のための順応的管理モデル

第5章 バードストライク対策の技術開発(飯田 誠)

1 風力発電による環境問題か?
2 風力発電とバードストライク問題
3 バードストライクのための技術開発――風車の「目」システム
4 風車の「目」システム開発
5 順応性の高い風力発電へ

第6章 風力発電開発の優先地域と参加型調査(分山達也)

1 風力発電への期待と不安
2 海外における風力発電のゾーニング
3 ゾーニングが果たす役割
4 ゾーニング可視化ツールの開発
5 ゾーニングによる合意形成プロセスの改善に向けて

第3部 実現に向けたガバナンス

第7章 再生可能エネルギー事業に対するローカルガバナンス(西城戸誠・尾形清一・丸山康司)——長野県飯田市を事例として

1 問題関心と問題の所在
2 再生可能エネルギー関連条例の制定状況とその評価
3 「地域環境権」と事業支援内容、その展開
4 「規制ガバメント」から「共創ガバメント」へ

第8章 コミュニティパワーの世界的潮流と日本での展開(古屋将太)

1 世界のコミュニティパワー
2 日本のコミュニティパワー
3 コミュニティパワーの課題

第9章 再生可能エネルギー事業における内発的発展の両義性(西城戸誠)
――日本版・コミュニティパワーの構築に向けて
1 問題関心と問題の所在
2 風力発電事業における構造的課題と内発的発展
3 「ポスト開発主義」としての再生可能エネルギー事業
4 コミュニティパワーに向けた今後の研究課題

終 章 再生可能エネルギーと社会の持続性のための思想(丸山康司・西城戸誠)

1 再生可能エネルギーと社会の持続性のための課題
2 「自律」と共同的自己決定
3 「いま、ここ」からの「自立」とポスト開発主義の思想
4 社会の持続性のために

おわりに
索 引

コラム
1 風力発電による騒音問題
2 洋上風車
3 エネルギー種別ごとの鳥類への影響
4 風力発電事業の計画から運転開始までの手順
5 地熱発電
6 農家、漁家の副収入としての風力発電事業