社会政策学会第144回大会(2022年5月14~15日)
2022年5月6日
社会政策学会第144回大会(2022年5月14~15日)
開催校:名古屋大学(オンライン開催、参加無料)
共通論題「2050年への社会政策――環境と社会の持続可能性を求めて」
5月14日13:00~17:00
● 包摂的社会へのベーシックアセット
宮本太郎(中央大学)
● 介護とテクノロジー
石黒暢(大阪大学)
● 「雇用の未来」はどのように記述されてきたのか――1980年代から現在における技術革新言説に注目して
仁平典宏(東京大学)
● 持続可能な福祉のための二つのシナリオ――環境社会契約のフレームワーク
イアン・ゴフ(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)
座長: 森川美絵(津田塾大学)
討論者: 上村泰裕(名古屋大学)
開催にあたって
5回目のオンライン開催となる第144回大会の開催校を、名古屋大学でお引き受けしました。学会の妙味は休憩時間や懇親会での偶然の出会いや学問的対話にこそあると思いますので、会場で皆様と直接お目にかかれないのは本当に残念です。しかしオンラインでも、充実した報告と討論だけでなく、休憩時間や懇親会の対話がなるべく実現できるように工夫しますので、若手会員をはじめ、多くの方々に御参加いただければ幸いです。
ところで名古屋大学は、1871年に石井隆庵、伊藤圭介、中島三伯(彼らは尾張藩医として同僚でした)の建議によって設立された「仮病院・仮学校」を起源としています。このうち石井と伊藤は(伊藤の兄・大河内存真とともに)嘉永年間に当地で種痘を始めた蘭方医で、漢方医に国賊と罵られても接種を続けました。その意味で、名古屋大学は感染症への社会政策的対応から生まれたとも言えます。一方、社会政策学会との関わりでは、1950年の戦後再建時に、福田徳三の孫弟子にあたる美濃口時次郎・経済学部教授が発起人に名を列ねています。その後、第26回大会(1962年11月、共通論題「低所得労働者の諸問題」)と第54回大会(1977年5月、共通論題「戦後体制と労資関係」)の開催校を引き受けていますが、今回はなんと45年ぶりということになります。現在は経済学研究科の福澤直樹会員(ドイツ社会政策史)、人文学研究科の新井美佐子会員(ジェンダー社会政策)、および環境学研究科の上村(比較社会政策)が、それぞれ社会政策の研究教育に当たっています。
今回の共通論題「2050年への社会政策――環境と社会の持続可能性を求めて」には、環境学研究科に在籍する上村の日ごろの思いが込められています。環境問題は目下の緊急課題ですが、だからと言ってその他の社会課題を忘れてよいわけではありません。環境保護と社会正義をいかに両立させるか。世紀後半に向けた社会政策の課題の一つはそこにあります。本大会における活発な討論が、2050年の会員の記憶に残るものとなることを願っています。
実行委員長 上村泰裕