私の専門は地域経済学と地方公共経済学です.特に,地域レベルの経済政策の影響を理論的に分析しています.経済学では,地域には国家レベルとは異なる政策的問題があるものと認識されてきました.その根幹にあるのは,地域経済の高度な開放性です.地域経済は,財貿易のみならず,人口・資本・企業の移動を通じて緊密に連関しています.地域間移動性の1つの重要な含蓄は,ある地域の経済政策が他の地域にも多大な影響を与えるということです.地域レベルで良かれと思ったことが,他地域に悪影響を与えることも考えられます.つまり,地域レベルの経済政策を分析する際にも,全地域的視点が要求されます.
例えば,減税・補助金その他の優遇措置といった,人口・資本・企業の誘致政策は,個別地域の観点からは経済振興に有益と判断されますが,引き抜きを受ける地域には悪影響があり,全地域的観点からは有害である可能性があります.この意味において,ミクロ経済学で論じられるところの「競争のメリット」は,地域間競争の領域では極めて限定的なものと考えられます.
今や経済のグローバル化により,国家レベルの政策を考える際にも,境界を跨いだ移動への影響を考慮しなければならない時代が到来しています.ただし,移動の容易性は,なお国内の方が遙かに高いでしょう.公共経済学の分野では,地域レベルの分析の手法が,そのまま国際経済分析に活用され始めています.
主な研究テーマは以下の通りです.
- 地域レベルの経済政策の理論分析
- 地域間競争の経済的帰結
- 地域間競争の弊害に対処する地域間協調や政策介入
特に地域の経済環境を整えるインフラ政策に関心を持っています.
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