社会学的想像力の翼を広げよう

朝、一杯のコーヒーを飲みながら新聞に目を通す。そのコーヒーは、グローバルに展開する資本主義のシステムを通じて地球の裏側の国々とつながっています。一方、戦争や政変や危機や災害を報じる記事の陰には、私たちとよく似た無数の家族や恋人たちが住んでいることでしょう。身近な出来事を広い文脈と結びつけて考える能力、またそれとは逆に、広い世界の出来事を身近な問題として考える能力のことを、社会学的想像力と呼びます。

社会学研究室の4名のスタッフは、階層社会に拮抗してゆるやかなネットワークを形成しようとする人々の集合行為の可能性に注目したり、グローバル化する現代社会におけるローカル・コミュニティの価値を過疎地に寄り添って探究したり、アジアの地域統合と国内の地方分権が進む時代にふさわしい福祉モデルを国際比較の方法で追求したり、経済と社会の多様な相互作用や労働市場で生じる格差と不平等の問題を理論的かつ経験的に分析したりしています。どの研究も、現代社会学の最先端を切り拓くものばかりです。

社会学は、人々のあいだの「関係」に着目して社会現象や社会問題を解明しようとする学問です。その研究領域は、家族、教育、産業、労働、地域、福祉、環境、災害、政治、経済、宗教、科学技術、メディアなど多岐にわたります。社会学研究室では、ゼミや講義を通じて基礎理論を批判的に学ぶとともに、調査実習や卒業研究を通じて社会の現実に迫る技法を体得します。お互いに議論し刺激しあう仲間のいる、活気に満ちてあたたかい研究室です。