名古屋大学  大学院環境学研究科  社会環境学専攻 経済環境論講座

中田実

環境資源経済学の理論分析が専門です.近年環境問題は,その影響及び対策範囲に関して,時間軸の拡大を見せています.経済活動が環境に負の影響を与えるのなら,環境を保全するには経済成長をあきらめるべきでしょうか.伝統的な理論や実証研究では「経済成長と環境保全は両立できない」,という直観が支持されてきました.しかし,環境対策が研究開発を促進し,経済構造が技術中心にシフトするならば,長期では経済成長に正の影響を与える可能性があります.税収で法人減税と所得減税を行った場合の成長率への影響の違いについても,検討しています.

このように,研究開発と経済成長とは密接な関係にあります.一方,民間企業にとって研究開発の目的とは,技術開発に成功し,利潤の源泉を築くことです.では市場の独占水準と研究開発は正の相関関係にあるでしょうか.エネルギーの市場構造と研究開発との関係について検討しています.エネルギーなど他の生産要素との代替が容易ではないケースでは,独占度が非常に高い場合,一定の規制緩和は研究開発を促進する可能性があります.

もし環境対策が経済成長に正の影響を持つならば,なぜ円滑に対策が導入されない場合があるのでしょうか.環境問題がもたらす損害の大きさや,対策の費用負担が大きく異なると利害対立をもたらし,政策導入遅れの原因になるかもしれません.政治的要因が意思決定に与える影響について,立地論を導入した研究も始めています.

主な研究テーマは以下の通りです.

汚染源と所得の異なる住民の居住地選択が,環境税に与える影響に関する分析も行っています.

研究業績や連絡先などについてはプロフィール やホームページ を見てくだ さい.